2021年度

全日本ろうあ連盟創立70周年記念映画
「咲む」上映会 熊谷市立文化センター
2022年3月5日(土) 参加者76名

新型コロナウイルス感染拡大のため、2021年3月6日から延期となっていた「咲む(えむ)」上映会を2022年3月5日にようやく開催することができました。
新型コロナウイルス感染予防対策を講じながらの開催でしたが、76名の参加者にお越しいただき無事終えることができました。
熊谷市長をはじめ市議会議員などもお見えになられ、市長に挨拶を頂いた後に上映が始まりました。2時間ほどの上映を終えた後、参加者の皆さまから「感動した」「涙が出た」という声を多くいただきました。

【参加者からの感想】
・「咲む」の内容がほんとに素晴らしい作品で感動しました。父が自分の母(瑞月のおばあさん)とのわだかまりを残したまま長い間会わずにいたけど、瑞月がおばあさんを懸命に看病したり、そこに住む村人達との交流に励んだりしたおかげで最後に父が自分の母と再会する場面を見て、これからわだかまりが解けてゆくんだとうれしく思うと同時に瑞月のこれまでの頑張りさに感動しました。(ろう者)

・ どのような内容か楽しみにしていました。 看護師国家試験に合格したろうの女性瑞月が、診療所で雇われてから村で生活しますが、最初は村人達とのコミュニケーションがうまくいかない。 そのうち瑞月の行動が村人達との距離が近くなる様子が、瑞月の力強さに表れていると思いました。 ある女性から「どのように障害を乗り越えたの?」と聞かれ「そのまま前を歩くだけ」と答え、大切なことだと思いました。 聞こえない、聞こえる関係なくお互い思いやり、よりよい環境が整えられることを願います。(聴者)

熊谷市障害者相談支援センター委託事業
 委託団体 : 熊谷市ろう者協会
岩田直樹氏(グラフィックデザイナー)の講演会
「2021年デジタルの日のロゴ作成を通して」
2022年2月5日(土) 参加者15名

熊谷市障害者相談支援センターからの委託事業による講演会に、「デジタルの日」のロゴを作成したグラフィックデザイナーの岩田直樹氏をお招きしました。講演を始めるやいきなりスクリーンには「めちゃくちゃド緊張しています。」と大きな文字で映し出されて参加者はあぜんとしましたが、次々に映し出される映像がグラフィックデザイナーらしく個性的なもので、楽しくお話を聞くことができました。
まず、仕事の紹介から始まり、今までの作品の紹介がありましたが、どれをとっても素晴らしいものばかりでした。
次に「2021年デジタルの日」のロゴ作成の担当になったきっかけから完成するまでの経過をお話していただきました。公募の形ではなく、推薦受付の形であり、中間発表されたロゴ作成推薦受付リストの中に「ドラゴンボール」の鳥山明氏、「AKIRA」の大友克洋氏等有名な方の名前が入っていたので、最終的に自分が選ばれた時は大変びっくりしたそうです。いつもは6ケ月位余裕をもってデザインを考えるのですが、今回の場合、なんと、「1か月後」と告げられたので、本業の傍らデザインを考えた末、2つの案に絞り、デジタル庁に提出したところ、今のロゴに決定されたという話でした。
講演の合間に、自分の生い立ちや夢を持つことの大切さ、趣味のサウナなど、幅広いお話をしていただきました。
グラフィックデザイナーという仕事柄、忙しい身であるのにも関わらず、熊谷までお越しいただき、ありがとうございました。

岩田直樹氏のホームページ
 dynamo-design.com

 

【参加者からの感想】
・今回は、リモートによる講演でなく、わざわざ熊谷までお越しいただき、感染対策をしっかりした上で講演をしていただいたので、場の雰囲気を感じ取れてよかったです。また、質問タイムがたっぷりあって、交流会のように楽しめました。自分で応募するのではなく、推薦により選ばれないと「デジタルの日」のデザインを提出できない、など知らなかったことがあり、凄い!と思いました。岩田直樹さん、これからのご活躍を祈ります。(ろう者)

・デジタルの日のロゴを見て、なんとシンプルかつ洗練されたデザインだろうと思い、作成された岩田直樹さんに興味を持ち、講演を楽しみにしていました。これまでの作品を拝見しどれもすばらしいデザインで、生き生きとお仕事されていることが伝わってきました。ハマっているというサウナについて熱く語っておられる様子も、ほほえましかったです。(聴者)

第3回教養講座「伝わることの大切さ」
   小野寺善子氏
2021年12月11日(土) 参加者17名

 第3回は「NHK手話ニュース」キャスターの小野寺善子氏をお招きして、オンライン(Zoom)による講演が行われました。
まず、自分の生い立ちの話から始まり、NHK手話ニュースキャスターになってから経験したことをお話していただきました。
NHK手話ニュースキャスターになったばかりの頃は方向音痴でNHKセンターの中を迷ったり、本番放送の時に緊張しすぎてミスをしたりしたことがあったそうです。
 いくつかの失敗談の中に、「巨人が優勝しました。」と喜び顔で伝えたところ、「小野寺さんは巨人ファンなのか?」と批判があり、それ以来中立の立場で伝える姿勢を大切にしているとの話でした。後半は、NHK手話ニュースの裏話を中心に打ち合わせから放送されるまでの流れをお話していただきましたが、本番前にもう一人のニュースキャスター(ろう者)と「全国のろう者にとってわかりやすい表現は?」と打ち合わせしているということで、15分間の時間だけではなく、事前の打ち合わせの大切さがわかりました。ろう者だけでなく手話通訳者、手話サークルの皆さんにとっても「伝わることの大切さ」を考えさせられた講座でした。皆さん、ぜひ「手話ニュース」を見ましょう!

【参加者からの感想】
・NHK手話ニュースキャスターである講師の小野寺善子氏が自身の生い立ちや社会経験から、ニュース原稿(日本語)をそのまま伝えるのでなく、ろう者が理解できるよう日本手話で伝えなければ、といつも考えているという氏の「伝わることの大切さ」を強く感じた講演でした。 また、ろう者キャスターが登場するようになった頃は聴者キャスターと違って、生放送でなく事前収録だったこと、今は生放送になったが、放送前のリハーサルをやらなければならないことなど、NHK手話ニュースの裏話も聞け、面白かったです。(ろう者)


・今回社会教養講座に3回参加させていただきました。 最後の小野寺さんの『伝わることの大切さ』は、手話を学ぶうえでも、とても役に立つ内容でした。 キャスターとして活躍される裏では、沢山の努力を重ねていることを知りました。 小野寺さんの講座を受講し、普段の生活の中でも、色々な情報に関心をもち、知識を高め、内容をよく理解することが大切だと感じました。 裏話もお聞きしたので、手話ニュースを見るのが今まで以上に楽しみになりました。(聴者)

第2回教養講座「ベトナムのオドロキデフ見聞録」
   那須映里氏
2021年11月20日(土) 参加者18名

第2回は手話エンターティナーの那須映里氏をお招きして、ベトナムで実際に体験したことをいろいろお話していただきました。 ベトナムへ行くと決めたのはマクドナルドでアルバイトしていた時にたまたま一緒にいたベトナム人から「うちの国へ来てみない?」と言われたのがきっかけだそうです。 実際ベトナムへ行き、日本の文化との違いに驚き、興味を持つようになってかは何度も行き来ようになり、1〜2ヶ月間の仕事も体験したそうです。 講演の内容は、北部と南部では手話が違うこと、ろう者と会う約束をするには会う時間の30分前にするのが常識だということ、他人の結婚式に遠慮なく参加してもいいこと、床屋の床に切り落とした髪を掃除しないでたくさん残した方が人気のある床屋だということなど、日本では考えられないことばかりで、まさに講演のテーマ通り、驚きの連続でした。

【 参加者からの感想】
・講演で実際に那須英里さんに会えて嬉しく思いました。 テーマは『ベトナムのオドロキデフ見聞録』でしたが、色々な凄い話を聞き、テーマと同じように驚きました。 ベトナムの北部と南部では手話が違うので、北部へ行くと北部の手話をしなければならなく、南部では南部の手話をしなければならないという話を聞いて、同じベトナムろう者なのに、北部と南部の手話を両方覚えるのは大変だなと思いました。また、ベトナムの文化と日本の文化との違いの話が面白く、参考になりました。(ろう者)

・ベトナムについて知らない事ばかりで、興味深く参加出来ました。 床屋は人気店と分かるように、切った髪を掃除せずにそのままにしておく事や、結婚式に誰でも参加出来るなど、いろいろな日常生活の事もおもしろかったです。 地域で文化、気質が違い、手話も大きく違うが、ろう者が使っている手話を尊重しているのは、ベトナムも日本も同じだと思いました。 対面の講演で、那須さんの明るい人柄にふれる事ができ、参加して良かったです。(聴者)

第1回教養講座「ろう通訳とは?」寺澤 英弥氏
2021年10月30日(土) 参加者15名

2021年度も社会教養講座が始まりました。新型コロナウイルス感染予防対策のため、初めてオンライン(Zoom)による講演が行われました。
第1回は「NHKみんなの手話」に出演しておられる寺澤英弥氏をお招きし、ろう通訳が生まれたきっかけやろう通訳の必要さをお話ししていただきました。
東京オリンピック・パラリンピックでのろう通訳について東京オリンピックの最中にNHKから突然ろう通訳の依頼があったこと、引き受けた後の準備や打合せが大変だったこと、ろうの視聴者から賞賛や批判があったことなどエピソードを交えながらの話であっという間の2時間でしたが、ろう通訳について身近に感じられた講演でした。

【参加者からの感想】
・寺澤英弥氏の講演を聞いて、私の知ってる手話通訳とは違う「ろう通訳」の様子を理解することができました。手話通訳はもちろんですが、ろう通訳も必要だと感じました。残念ながらろう通訳は資格化されていません。セッティングしてくれた皆さんのおかげで無事終えられたことに感謝しています。(ろう者)


・聴者の通訳と「ろう通訳」の違いがよくわかり、「ろう通訳」の必要性を改めて感じました。また、フィーダーについてや、オリンピック閉会式放送時の舞台裏のお話など、とても興味深く勉強になりました。今後更に活動の場が広がることを期待しています。(聴者)